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【徹底比較】ノーコードツール、本当に使うべき?何を使うべき?

新型コロナウイルスのパンデミックやエンジニア人材の不足によって、新しい開発手法として急速に注目を集めているのが「ノーコード開発」です。

米調査会社のガートナーは2024年までに企業で使う業務アプリの65%が「ノーコード/ローコード」の開発手法を用いて作られると示しており、また米調査会社のフォレスター・リサーチは、2024年の「ノーコード/ローコード」のソフト開発サービスの市場規模は約145億ドルと2020年の2倍超になる見込みを示しています。

このような状況下で海外・日本を問わず数多くのノーコードツールが登場しており、ユーザーとしては「同じようなツールばかりでどれを選べばいいか分からない」という悩みが生まれています。

本記事では、本当にノーコードツールを使うべきなのか、どのようなノーコードツールを使うべきなのかについて、比較する際のポイントを解説します。

(著者 NoCordersJapan協会 理事 西谷大輔)

目次[非表示]

  1. 1.ノーコードツールとは
  2. 2.本当にノーコードツールを使うべき?ノーコード開発とプロコード開発との比較
  3. 3.ノーコードツールの比較ポイント
  4. 4.ノーコード開発ツールの主な領域
  5. 5.まとめ


ノーコードツールとは

ノーコードツールとは、ソースコードの記述をせずにWebサービスやアプリなどのソフトウェアを開発できるサービスを指します。

一般的に、Webサービスやアプリを開発するには、プログラミング言語を使用してソースコードを記述する必要がありますが、ノーコードツールでは利用者がソースコードを記述する必要はありません。そのため、これまで必須とされていたプログラミング言語などのITスキルや知識を持たない非エンジニアでも、画面上でのドラック&ドロップ等によってWebサービスやアプリ開発を可能にしたものがノーコードツールです。

用途は、WebサイトやECサイトの構築、一般消費者向けのモバイルアプリ、社内の業務システム開発など、多岐にわたります。


本当にノーコードツールを使うべき?ノーコード開発とプロコード開発との比較

ノーコード開発と比較されるものとして、プロコード開発があります。プロコード開発とは、スクラッチ開発とも呼ばれ、ITエンジニアなどのIT専門家がソースコードを記述するWebサービス・アプリ開発です。これらは一概にどちらが良いというわけではなく、目的に応じて使い分ける必要があり、それぞれの特徴は以下となります。

比較表

(筆者作成)

これらの手法を目的に応じて使い分ける上で重要なポイントは、「拡張性・自由度をどの程度求めるか」にあります。ノーコードには、「非エンジニアでも開発できる」「開発生産性・スピードが上がる」と多くのメリットがありますが、どんなものでも作れるわけではありません。

目的とするWebサービス・アプリケーションが大規模で複雑になるのであればプロコード開発を選択すべきです。他方、ワークグループレベルで現場社員ごとの状況に合わせて作るようなWebサービス・アプリ開発は、そのグループメンバー自身が行うほうがよいため、そのような環境ではノーコード開発を選択すべきです。

アプリケーションのピラミッド

(出典:ガートナー)


そのため、業務用システムやWEBサイト開発といった領域に応じて、どちらが良いか判断するのではなく、その中でどのようなことを実現したいかといった目的によって判断することが必要になります。

業務用システムの場合、例えばERP(統合基幹業務システム)のように企業全体で利用する重要・複雑なシステム開発にはノーコードツールは向きませんが、紙・Excelで運用している日報等のように現場で利用しているそれほど複雑ではないシステム開発にはノーコードツールが向いています。

WEBサイト・ECサイト・モバイルアプリ開発の場合、UI/UXにどこまでこだわるかによってこれらを使い分ける必要があります。例えば住宅ローンや生命保険のように扱う商材の難易度・単価が高いWEB/ECサイトの場合、UI/UXにこだわる必要性が高いため、ノーコード開発は向きません。他方、商材の難易度が高くない洋服等のWEB/ECサイトの場合、必要とされる機能やUI/UXはある程度共通であるため、ノーコードツールが向いています。

このようにプロジェクトの目的やツール導入によって何を実現したいのかを明確にした上で、そこにノーコードツールが適しているのかを見極めることが何より重要になります。


ノーコードツールの比較ポイント

ノーコードツールが適していると判断した場合においても、現在では数多くのノーコードツールが登場しており、どれを選べばいいか分からないという悩みが生まれています。
どのツールを採用すべきなのかについて、具体的にノーコードツールを比較するのではなく、それぞれのツールを比較する上での検討軸を解説していきます。


(1)目的・用途との合致

こちらが最も重要なポイントとなり、ノーコードツールを導入する目的を明確にし、必要な機能を洗い出す必要があります。ノーコードツールは、業務用システム開発・WEBサイト開発・ECサイト開発など適した領域が異なり、更にその中において機能特化しているツールもあります。そのため、必要な機能を洗い出すことで比較検討しやすくなります。

例えば、スマートフォンやタブレットで利用が想定される業務システムを開発する場合は、モバイルデバイスに対応できるノーコードツールを選ぶ必要があります。また、WEBサイト・ECサイト開発においても、決済機能のみを利用したいという場合には、そこのみに対応しているノーコードツールを選ぶ必要があります。


(2)サポート/教育体制の充実度

日本展開しているノーコードツールであっても海外製が多いのが現状です。海外ツールの場合、言語が日本語に十分対応していないことや緊急時のサポート体制が不十分なケースなどが見受けられます。

また、ノーコードツールであっても、ツールの難易度は玉石混交です。実際に触ってみて難易度はどの程度か、どの程度の学習コストが発生するか、その際にどのような教育サポートが受けられるかが非常に重要になります。

導入後の教育メニューや不明点があった場合に問い合わせ対応してもらえるか、不具合が起きた際に対応してもらえるか、どこからが有償のサポート範囲となるか等、事前にサポート/教育内容を確認し、比較ポイントとしてください。


(3)外部システムとの連携性

ノーコードツールで構築した業務システム、WEBサイトやECサイトを他システムと連携させることを想定している場合は、外部ツールの連携性も比較ポイントです。

例えば、業務システムであればERPとの連携やシングルサインオンとの連携が想定され、WEBサイトやECサイトであれば顧客管理システムや決済システムとの連携が想定されます。

但し、連携に特化したEAI/ETLやiPaaSといったツールを使うことで、連携が出来る場合があるので、ここがボトルネックとなった場合にはこれらのツールで解決できないかを検討するのも一案です。


(4)料金プラン/コスト

やはりコストも重要な比較ポイントとなります。その際に、特に確認すべきなのは料金プランとなります。ノーコードツールは小さなアプリケーション開発に向いていますので、まずはスモールスタートし、投資対効果が見込めた段階で機能拡張・対象範囲拡大など投資額を増やしていく場合が多いです。そのため、スモールスタートが出来る無料プランやエントリープランがあるかが比較ポイントになります。

もちろんスモールスタートしたものが大きくなり、目的を達成した際にどの程度のコストになるかも比較ポイントにはなりますが、昨今のようにDXのスピード感が求められる状況にあってはまずはスモールスタートしてみることがより重要かと思います。


(5)社内セキュリティポリシーへの適合

セキュリティポリシーはノーコードツールのポリシーに従うことになるため、認証機能やアクセス制御など自社のセキュリティポリシーにて必須となるセキュリティ対策がある場合は、ツールのセキュリティ機能にて充足できるかが比較ポイントとなります。

しかしながら、ノーコードツールが普及している昨今において、ツール側が必要となるセキュリティ対策の大半を揃えており、十分なセキュリティ対策を講じていることが多いかと思います。


ノーコード開発ツールの主な領域

ノーコードツールは様々な領域で展開されており、さらにその領域ごとに汎用性のあるものから特定の用途に特化したものまで、多種多様なツールが展開されています。

これらのノーコードツールは、随時、機能が拡張されており、区分や境界線は必ずしも明確ではないものの、それぞれの領域にどのようなツールがあるかはカオスマップにてご確認ください。

  「ノーコード・カオスマップ」(2021年11月版)の公開について 一般社団法人NoCoders Japan協会(ノーコーダーズ・ジャパン協会)は、ノーコード・ローコード関連企業・サービスが一覧化された「ノーコード・カオスマップ」(2021年11月版)を公開いたします。 一般社団法人NoCoders Japan協会


まとめ

IT人材不足が大きな課題となっている日本にとって、ノーコードを活用すれば非エンジニアであっても自らシステム開発でき、それによってエンジニアはより専門的な領域で活躍することができるため、今後のDXを後押しする存在になり得ます。そのためにはノーコードツールを正しく活用することが必要であり、その前提としてノーコードツールの特徴や得意領域、他手法との棲み分けを正しく理解する必要があります。

是非、ノーコードツールを正しく理解し、ご活用いただければ幸いです。


(著者 NoCordersJapan協会 理事 西谷大輔)