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【DXEXPO2026】「小さく始めて、組織で育てる」〜ノーコード・AI時代のDX推進、3つのリアルな現場から〜 パネルディスカッション レポート

一般社団法人AI&NoCoders Japan協会主催のパネルディスカッションでは、組織へのDX・AI活用推進について議論しました。エンジニア不在の現場でも小さな成功体験から始められること、上層部と現場をつなぐ「中間層」の重要性、部署横断の「コミュニティ」による組織全体への波及、そして継続活用を支えるデータ基盤・ガバナンス設計の必要性が語られました。

テーマ1:現場発のDX事例と「中間層」の役割

  • 中小企業の現場にはエンジニアが不在なことが多く、2030年には国内で約79万人のITエンジニア不足が見込まれるという背景があります。

    • そのため、新規採用に頼るのではなく、今いる人材がIT・AIを使えるようにすることが急務となっています。

    • そのような中、エンジニア不在のある税理士事務所が、若手スタッフ自らローコードツールで紙書類の電子化から着手し、成功体験を起点に業務フロー構築・部分的なリモートワークまで進んだ事例が紹介されました。

    • 「自分たちでもできた」という最初の成功体験が「これもできるかもしれない」という発想の広がりを生むのです。

  • なお、「トップダウン」は現場の反発、「ボトムアップ」は一部の人にとどまり予算がつかない、という両極の課題があります。

    • 経営層への説明(予算確保)と、現場の巻き込みを両方担う、「中間層」の存在が普及の鍵です。

    • 特に始めやすいテーマの条件は以下です:

      • ①個人情報・機密情報を含まない、

      • ②毎日・毎週の定型業務であること

    • AIは禁止するより「申告制」にして利用実態を可視化すべき

      • 最低限のNGリスト(個人情報・機密情報・マイナンバー等を入れない)を1枚のガイドラインにまとめることを推奨

      • 詳しい人(開発担当)任せにせず、あえて非エンジニアの現場メンバーを巻き込むことが定着のポイント


テーマ2:組織に広げる「コミュニティ」

  • 個人・一部署の取り組みを組織全体に広げようとすると、

    • 内製化のノウハウ不足

    • 完璧を求めて情報システム部門と摩擦

    • クラウドサービスの進化の速さ

    • 一部署だけではアイデアが生まれずモチベーションが下がる

      • といった壁にぶつかりやすいです。

  • そこで、部署横断で困りごとや事例を共有できる「コミュニティ」の場が必要

    • 学ぶだけでなく「行動→学び→発信→フィードバック」のサイクルを回すことが定着につながります。

    • 推進担当者は孤独になりがちで、孤立させない仕組みが重要です。

    • 社内でAI活用の勉強会を開いたところ、隣の席の同僚の使い方すら知らなかったという気づきがあり、共有の場自体に意味があった

  • 日本の組織では「空気感」が重要で、活用が周囲に広がり前向きな雰囲気が生まれることで、上層部もリスクを取りやすくなります。

  • 推進役・エバンジェリスト的な立場の人が、周囲から頼られ称賛されることが、本人のモチベーションと成功事例の横展開につながります。


テーマ3:継続活用を支えるデータ基盤とガバナンス

  • PoC(実証実験)自体は比較的簡単に成果を出せるが、現場に定着・スケールさせる段階では「業務データへ安全にアクセスできる基盤」があるかが壁になります。

    • 戸田建設のDX推進事例を引き、「アプローチ可能な実務データがあったこと」が定着の条件だったという紹介されました。

    • リソースは有限であり、どこを自社で管理し、どこを手放す(ツールやAIに任せる)かの線引きが重要です。

  • 業務影響度に応じて「誰が」「どこまで」責任を持つかを明確にするガバナンス設計が必要

    • 属人化した「Excelマクロのブラックボックス化」問題が、典型的な失敗例として言及された

    • 企業の強みは、既に社内に蓄積されたデータ(Excel等)そのものにあり、MCPのような仕組みでAIとつなぐ発想も紹介されました。

    • セルフサービス的に誰もが自由にデータへアクセスできる状態が最大のリスクになりやすく、どの経路でデータを届けるかを明確にした上でアクセスを許可する環境整備がポイントです。


まとめ:推進の3段階フレームワーク

  • ①最初の一歩(現場の小さな成功体験

  • ②コミュニティによる場づくり(組織的な空気感の醸成

  • ③データ基盤・ガバナンスの設計(持続可能な仕組み化

→ 自社が今どの段階にいるかを意識することで、推進のハードルの捉え方が整理できる、というメッセージでパネルは締めくくられました。

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