ノーコードツールとは?アプリ・Web開発の新常識を徹底解説
プログラミング言語でのコーディング不要でWebやアプリ開発ができる技術「ノーコード」を活用したツールが増えています。実際、ノーコードツールはどんなことができるのか?注目されている理由は?さまざまな視点からノーコードツールを解説いたします。
Webサイトの制作やアプリ開発はプログラミングができるエンジニアにしかできない、というのはもう過去の話です。
「ノーコードツール」をご存知でしょうか?その名の通り、コーディングをせずにIT開発ができるツールです。
深刻なエンジニア人材の不足といったIT業界が抱える問題を解消するノーコードツールについて、基本情報から導入のメリット・デメリット、代表的なツールまでご紹介いたします。
この記事を最後まで読むことで、今後ますますの普及が見込まれるノーコードツールについて理解を深めることができるでしょう。
目次[非表示]
- 1.制作・開発の新常識「ノーコードツール」とは
- 2.ローコードとの違い
- 3.なぜ今ノーコードツールが注目されるのか
- 3.1.1.深刻なエンジニア不足
- 3.2.2.開発の低コスト・短期スケジュール化
- 3.3.3.クラウドサービスの一般化
- 4.ノーコードツールでできること・ツール紹介13選
- 5.ビジネスアプリ
- 5.1.Scale cloud
- 5.2.Sales force
- 6.モバイルアプリ
- 7.EC/D2C
- 8.Webサイト
- 8.1.ferret One
- 8.2.KARTE
- 9.バックオフィス
- 10.CS
- 11.ノーコードツールのメリット
- 11.1.1. 開発にかかる工数・コストの削減
- 11.2.2. セキュリティリスクが低減される
- 11.3.3. エンジニアではない人材でも開発が可能
- 12.ノーコードツールのデメリット
- 12.1.1.ツールへの依存
- 12.2.2.ノーコードツールの学習コスト
- 13.ノーコードツール導入の注意点
- 13.1.ノーコードの目的は「生産性の向上」
- 14.ノーコードツールで開発を始めるなら
- 14.1.まずは無料ツールを触ってみる
- 14.2.学習コンテンツを活用する
- 14.3.コミュニティへの参加
- 15.ノーコードツールはこれまでの開発の常識を覆す
- 16.まとめ
制作・開発の新常識「ノーコードツール」とは
ノーコードツールとは、Web制作やソフトウェア開発において必要なソースコードの記述をせずに開発を行えるサービスのことを指します。
これまで、ソースコードの記述はプログラミング言語の習得が必須で、かなり専門性の高い技術でした。しかし、ノーコードツールを利用することによってエンジニアとしてのスキルが無い人材でもIT開発ができる時代となりました。
ノーコードの流れは、ShopifyやBASEといった、個人でECサイトが作れるサービスなどから広く浸透してきています。
そんなノーコードツールについて、まずはローコードとの違いからご説明いたします。
ローコードとの違い
ソースコードを記述しないノーコードと聞いて、「ローコード(Low code)とは何が違うのか?」と思った方もいるのではないでしょうか。
ローコードは、「コードを記述する手間をできるだけ省略した」開発サービスです。ものによってはほとんどコードを書かなくても開発できますが、一部でコーディングは必要になります。そのため、一切コードを書かずにGUI(ビジュアル重視の画面操作)だけで開発できるノーコードより、ローコードの方が自由度と拡張性が高いと言えるでしょう。
なぜ今ノーコードツールが注目されるのか
年々市場規模も拡大しているノーコードツールですが、なぜ今大きく注目を集めているのでしょうか?
その理由を、3つの視点から解説いたします。
- 深刻なエンジニア不足
- 開発の低コスト・短期スケジュール化
- クラウドサービスの一般化
一つずつ、詳しく見ていきましょう。
1.深刻なエンジニア不足
これまで、Webサイトの制作やアプリの開発には、ソースコードの記述(いわゆるコーディング)が必要不可欠でした。コーディングは誰にでもできることではないため、プログラミング言語といったITスキルを習得した人材に依存してしまう状況が続いています。
2030年には、日本国内で約79万人のITエンジニアが不足するという試算が政府から出されています。ではエンジニアを増やそう、ではなく、「誰にでもエンジニアの仕事ができるツールを開発する」という方向性で注目されているのがノーコードツールです。
2.開発の低コスト・短期スケジュール化
新しいサービスやWebサイト・アプリを開発する際、短納期かつ低コストは常に求められると言っても過言ではないでしょう。これまでのエンジニア人材に依存した開発体制では、納期とコストはエンジニアの手腕とキャパシティ次第となり、特に個人事業主や小規模事業者にとって高い敷居となっていました。
ノーコードツールを活用することによって、エンジニアとしてプログラミングを学び直す必要なく、開発の低コスト・短期スケジュール化が可能です。
高いコストと長い開発期間を経てリリースされるサービスには検証リスクが付き物です。ノーコードツールなら、話題性がある内にアプリをリリースし、分析・検証に移るというスピード感のある開発が実現できます。
3.クラウドサービスの一般化
ノーコードツールが注目され多くの企業が導入している理由として、クラウドサービスの一般化も挙げられます。
高い費用と場所を確保してサーバーを設置したり、高価なソフトウェアを購入することなく、インターネット上にサーバーとデータを保管するクラウド化は当たり前となりました。
クラウドが出始めた頃は、セキュリティ面での危惧がありましたが、技術の進歩によって今では金融機関や官公庁も基幹システムにクラウドを取り入れています。
このような実績からクラウドサービスが広く受け入れられたことで、幅広い業種に向けたノーコードツールが登場し、注目を浴びているのです。
ノーコードツールでできること・ツール紹介13選
では、実際、ノーコードツールで何ができるのか?代表的なツールと合わせてご紹介いたします。
種類 |
名称 |
特徴 |
ビジネスアプリ
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ノーコードでKPIマネジメント |
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統合CRMプラットフォーム |
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モバイルアプリ
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業務用モバイルアプリ開発に特化 |
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開発・運用・分析までノーコード |
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自社の業務効率化Webアプリを開発可能 |
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EC/D2C
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ECサイト開発ならこれ!機能性も高い |
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完全無料でショップ開設が可能 |
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Webサイト
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パワポ感覚でコンテンツ作成 |
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独自の「BMS」を駆使 |
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バックオフィス
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ノーコードで自動化・ペーパーレス化も |
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個人事業主から法人まで幅広く対応 |
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CS
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顧客コミュニティをノーコード構築 |
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SaaSベンダーに強い |
ビジネスアプリ
社内のKPIや顧客情報を管理するビジネスアプリのノーコードツールからご紹介いたします。
いわゆるBIツールと呼ばれるソフトウェアを導入しても、高度なITスキルがある人材にしか使いこなせなかったり、複雑なUIによって組織全体で活用しきれないといった問題もノーコードツールが解決します。
Scale cloud
株式会社ビーワンカレッジが運営するKPIマネジメントツール「Scale cloud(スケールクラウド)」は、ノーコードで運用が可能なビジネスアプリです。部署ごとでバラバラに管理してしまっているKPIを自動で集約・統合し、事業全体で優先的に改善するべきKPIを可視化できます。ノーコードなので、KPIマネジメント業務の属人化を防ぎ、組織全体での仕組み化を促進します。
Sales force
株式会社セールスフォース・ジャパンが運営する顧客管理ツール「Sales force(セールスフォース)」。マーケティング、営業、カスタマーサポートといったあらゆる部署で、顧客の情報が共有できます。Sales forceには、業務用アプリをノーコードで開発できる「アプリケーション・ビルダー」という機能があります。開発環境作成・画面の作成・業務への最適化という3ステップでスピーディーにアプリ開発が可能です。
モバイルアプリ
これまでモバイルアプリの開発にはSwiftなどのプログラミング言語の習得が不可欠でしたが、今ではモバイルアプリ開発に特化したノーコードツールも存在します。
エンジニアとしてのスキルがなくても本格的なアプリが作成できるので、効率化のための業務用アプリ開発などに活用されています。
「このシステムをアプリ化したいのは山々だけど、外部のエンジニアに発注する予算も期間も無い……」という悩みを抱えた多くの企業に選ばれているノーコードツールをご紹介いたします。
UNIFINITY
UNIFINITY(ユニフィティー)とは、業務用モバイルアプリのノーコード開発プラットフォームです。
これまで紙やExcelで行っていた点検・報告業務などを、自社オリジナルアプリ化することで効率化できます。ノーコードで開発できるので、自社の業務に最適なUIが実現可能です。
iOS・android・WindowsといったOSごとに再開発をする必要が無いというのも、モバイルアプリのノーコード開発の魅力です。
YAPPLI
YAPPLI(ヤプリ)もモバイルアプリのノーコード開発プラットフォームです。
社内利用アプリはもちろん、店舗のECアプリやBtoB営業アプリ、教育機関のアプリまで幅広く対応しています。開発だけではなく、運用・分析までノーコードで提供しているため、アプリ開発のノウハウや運用に不安がある方でも安心して導入できるでしょう。
感覚的にデザインができる豊富なフォーマットで、自社のイメージを損なわないアプリを作り上げることができます。
サスケworks
サスケworksとは、業務効率化に特化したWebアプリ開発ノーコードツールです。
モバイルアプリではなく、クラウドを介して利用するWebアプリなので、端末やOSに影響されずに利用できるアプリが開発できます。そのため、社内の売上予測の管理や、紙面で回覧・承認を行っている作業などを全てアプリに集約し効率化を図ることができます。
EC/D2C
ECサイトなどのオンラインショッピングを目的としたサービスを開発するにあたって、ネックとなるのが決済システムです。ゼロからのフルスクラッチでシステムを構築するとなると莫大な費用と開発期間がかかってしまいますが、ECサイト開発に特化したノーコードツールを利用すればその心配はありません。
ここでご紹介する2つのツールは、名前を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。さっそくその特色をご紹介していきます。
Shopify
Shopify(ショッピファイ)は、ノーコードツールの中でも知名度の高いサービスです。オリオンビールなどの有名企業から個人販売店まで、幅広いユーザーがECショップの開発に利用しています。
Shopifyの魅力はなんといっても豊富で自由度の高い機能でしょう。決済システムにおいても、さまざまな決済手段を選択することができます。その他、問い合わせフォームや定期便の申し込みなどのシステムをノーコードで組み込むことが可能です。
BASE
Shopifyはカナダの企業が運営していますが、BASEは日本企業のBASE株式会社が運営しているECサイト開発プラットフォームです。国内だけで、すでに120万以上のショップがBASEで開設されているという数字から人気ぶりが伺えます。
Shopifyは月額料金が発生しますが、BASEは完全無料で利用できるという点も強みです。自由度、機能性ではShopifyの方が上ですが、BASEならデザインテンプレートから選んでサイト作成ができる手軽さから、ECサイト運営初心者の方に多く選ばれているようです。
Webサイト
Web上のコンテンツのレイアウトや機能の構築、つまりWebサイト作成にもノーコードツールがあります。HTMLやCSSでのコード記述不要、専門知識も不要で、感覚的にWebサイト作成が可能です。
もちろん作成だけではなく、運営・分析・改善までノーコードでできます。限られた人員しかWebデザインの変更・更新ができないというこれまでの常識を覆す、Webサイト運営のノーコードツールをご紹介します。
ferret One
ferret One(フェレットワン)はWeb上のコンテンツを構成するテキストや画像などのレイアウトを保管するシステム「CMS(Contents Management System)」のノーコードツールです。パワーポイントのように文字や画像データをドラッグ&ドロップしてWebコンテンツを作り上げることができます。
ferret Oneはサイト作成ツールとしての使いやすさだけではなく、サイト訪問者からリードを獲得するマーケティングにも強い機能が豊富に揃っています。
KARTE
KARTE(カルテ)では、「KARTE Blocks」というWebサイト運営ノーコードツールを提供しています。CMSではなくBMS(Block Management System)という名の、ブロックでコンテンツをレイアウト・管理する新しいシステムが特徴です。
ブロックごとにクリック数などの数値を可視化したり、ユーザーごとにパーソナライズして最適なブロック配置で表示するといった効率的なサイト運営が可能です。
バックオフィス
経理や人事のバックオフィス業務には、未だに紙のやりとりや書類の保管、テレワークに対応できないといった問題を抱えている企業も多いでしょう。それを全て自動化・効率化するとなると、外部エンジニアにシステム構築を発注するしかない……わけではなく、クラウド型のバックオフィスノーコードツールの導入が一番です。
マネーフォワード
「マネーフォワード」は、個人向けの家計簿・資産管理アプリですが、「マネーフォワード クラウド」はバックオフィスの機能をノーコードで一括管理できる法人向けツールです。
経理や人事を悩ませる、給与計算・経費精算・勤怠管理・請求書作成といった業務を、誰でもわかりやすいノーコードで自動化。法律に基づいたペーパーレス化に対応しているのでテレワークにも強いバックオフィスノーコードツールです。
freee
「freee(フリー)」は個人事業主から中規模法人まで幅広く対応しているバックオフィス効率化ノーコードツールです。
どのような業種のフリーランスにとっても、バックオフィス業務は避けて通れません。しかし、そのために人を雇ったり外注をしたりといった選択肢を持つことはなかなか難しいでしょう。freeeなら、個人の確定申告や受発注管理も、一括で効率化・自動化が可能です。もちろん従業員数が多い企業向けにも豊富なツールが揃っています。
CS
「顧客を成功に導くための取り組み」であるCS(カスタマーサクセス)にも、ノーコードツールが利用されています。
CSには、自社サービスを利用している顧客に向けた能動的な支援のため、顧客の状況の分析とコミュニケーションが欠かせません。そんなCS業務にも、ノーコードツールが選ばれています。
commmune
commmune(コミューン)は、CSに必要な顧客コミュニティをノーコードで構築できるノーコードCSプラットフォームです。
CSでは、幅広い顧客に対して均等に対応をしつつ、企業からの一方通行の発信にならないようコミュニケーションを取る必要があります。commmuneなら、コミュニケーションの集約、ユーザー間での自発的な課題解決の促進、分析に基づくアクションの最適化まで一括してノーコードで管理できます。
Fullstar
Fullstar(フルスタ)はデジタルマーケSaaS「Cloud CIRCUS」のサービスとして提供されているノーコードCSツールです。サブスクリプション型ビジネスモデルなどのSaaSベンダーにとって重要なCS機能に特化しています。
ノーコードツールのメリット
さまざまな業種に対応する代表的なノーコードツールを知って、さっそく導入を検討している方もいるかもしれません。しかし、導入の前にはノーコードツールのメリットとデメリットをどちらも理解しておく必要があります。
まず、メリットからご紹介いたします。
1. 開発にかかる工数・コストの削減
最も大きなメリットは、開発にかかる工数とコストが削減できるという点でしょう。
一般的に、Webサイトやアプリの開発には数ヶ月かかります。ノーコードツールなら、内容にもよりますが早ければ数日、数週間で完成させることが可能です。
ノーコードツールで内製できれば、外部の制作会社に依頼するコストも削減できます。
2. セキュリティリスクが低減される
スタートアップ企業や中小企業、個人事業主がアプリやWebサービスの開発を行う際に、頭を悩ませることが多いのがセキュリティ面です。特にECサイトでは、決済のために顧客がカード情報などを入力するため、厳重な管理体制が求められます。強固なセキュリティをフルスクラッチで構築するとなると、高い技術レベルのエンジニアが必要となり、実装までの期間もかかります。
ノーコードツールを利用すれば、ツールがサービスの一環として提供するサーバーを利用するケースがほとんどなので、セキュリティリスクが低減されます。著名な企業の導入実績が多数あるノーコードツールなら、高いセキュリティレベルが期待できるでしょう。
3. エンジニアではない人材でも開発が可能
ノーコードツールならではの強みとして、「非エンジニア人材を開発戦力化できる」という点も挙げられます。本来エンジニアという職種に就けるのは、大学や専門学校、プログラミングスクールなどを修了した人材に限られていました。そのため、社内の開発業務のボリュームに対してエンジニア不足という状況に陥る企業が多いのです。
ノーコードツールなら、ツールの操作を覚えれば、エンジニアとしての学習経験やスキルを持たない人材でもWebやアプリの開発、運営ができます。開発業務が人材に依存せず、フレキシブルかつ迅速にアップデートやレイアウト変更ができるという点もメリットです。
ノーコードツールのデメリット
続いて、ノーコードツール導入前に知っておきたいデメリットもご紹介いたします。
1.ツールへの依存
ノーコードツールであらゆる業務を一括管理・運営をすることは効率化だけではなく、セキュリティ面でもメリットは大きいですが、ツールに依存してしまうというデメリットもあります。
万が一、ツール側に不具合が発生したり、パフォーマンスが悪化した際に、業務がストップしてしまう可能性があります。社内にサーバーを置いて構築したシステムなら自社で解決できますが、ノーコードツールを利用している場合どうしてもツール提供元の対応を待つことになるのです。
また、新しいテクノロジーやミッションにチャレンジしたくても、利用しているノーコードツールでは対応していない機能が必要となった時、諦めるかシステム構築をするかの2択となります。全てを任せられるノーコードツールですが、全てを任せることにはある程度のリスクがあることは理解しておきましょう。
2.ノーコードツールの学習コスト
これはノーコードツールの種類にもよりますが、ツールを使いこなすまでには操作方法や機能を理解するための学習コストが発生します。特に、機能性が高く自由度が高いツールほど、習得にかかる期間は長くなるでしょう。
スムーズな定着のために、ツール側からセミナーやオンラインレッスンが提供されているノーコードツールも多いです。せっかく導入したのに使いこなせない、学習が進まず社内に定着しないといった悩みがあれば、ツール提供元に相談することで解決の糸口が見つかるでしょう。
ノーコードツール導入の注意点
ノーコードツールのメリット・デメリットがわかったところで、より具体的にツールが理解できたのではないでしょうか。ノーコードツールについて理解が深まると、
「では、もうエンジニアという職業はなくなってしまうのでは?」
「ノーコードツールが主流になれば、エンジニアはいらない?」
と思う方がいるかもしれませんが、どちらも答えはNoです。
ここに、ノーコードツールについて知っておくべき注意点があるのです。
まず、ノーコードツールが「エンジニアの代わりになる」と考えるのは間違いです。なぜなら、ノーコードツール自体を開発・運用しているのは他でもないエンジニアだからです。
ノーコードツールによってもたらされたのは、「エンジニアにしかできなかった業務の門扉が開かれた」ことであると言えます。エンジニアの仕事が奪われるのではなく、むしろ、人材不足に苦しむエンジニアの負担軽減が期待されるのです。
ノーコードの目的は「生産性の向上」
ノーコードツールを導入する理由として、第一に「楽がしたいから」と考える企業は、一度立ち止まって考えてみましょう。
ノーコードツールの目的は、楽をすることではなく業務効率アップによる「生産性の向上」です。ノーコードツールを導入することで、結果的に工数削減につながりますが、それはツールを使いこなすための学習や移行の期間と労力があってこそです。
ノーコードツールを利用して効率化して終わり、ではなく、それによってどう生産性が上がるのかを見据えることが大切です。
「ノーコードツールを導入してみたけど、思ったより面倒で使えなかった」という残念な結果になってしまわないよう、会社としてシステムの定着を推進できる環境を整えましょう。
ノーコードツールで開発を始めるなら
ノーコードツールで開発を始める、第一のステップにはいくつかの方法があります。
- まずは無料ツールを触ってみる
- 学習コンテンツを活用する
- コミュニティへの参加
3つのステップをご紹介いたします。
まずは無料ツールを触ってみる
どんなに「簡単」「誰でも開発できる」と謳われていても、実際に触ってみなくてはわかりません。使い心地だけではなく、ノーコードツールは「自社サービスと相性がいいか」の見極めがとても大切です。
多くのノーコードツールが、無料でツールを使えるライセンスを配布しています。まずは実際にツールを触ってみて、感覚を掴みましょう。
学習コンテンツを活用する
無料でツールを使えるライセンスだけではなく、チュートリアルやオンラインレッスンといったノーコード学習コンテンツを配信しているサービスも多いです。無料ツールの操作をしてみてわからないことがあったら、苦手意識を持たずにどんどん学習コンテンツを活用しましょう。
コミュニティへの参加
学習コンテンツ以外に、ノーコードツールの導入を検討している企業向けのセミナーを行っているサービスもあります。ノーコードツールユーザーのコミュニティへ参加し、定期的にセミナーを受講するのも良い方法でしょう。ただし、聞くだけではなく実際に手を動かしてみることが大切です。
セミナーやコミュニティは、自社にとってベストなノーコードツールを選ぶ手助けとなるはずです。
ノーコードツールはこれまでの開発の常識を覆す
コーディングができなくても、エンジニアという職種ではなくても、IT開発や運用ができる。このことは、多くのビジネスチャンスを生み、個人の可能性を広げます。
エンジニアに頼まなくてはできなかった業務によるボトルネックが解消されることで、よりクリエイティブな業務に集中でき、企業を成長させることでしょう。
ノーコードツールは、ただ便利なツールではありません。「ノーコード」はこれまでの開発の常識を覆し、新たなスタンダードとなる可能性を秘めています。
まとめ
ノーコードツールの基本情報から、代表的なツール紹介、導入の注意点までご紹介いたしました。ノーコードという最新技術に対するイメージが、少し変わったのではないでしょうか。
営業系のノーコードツールを使いこなせれば、顧客にとってベストなタイミングでのメール配信が自動化でき、空いた時間でより綿密に企画を練ることができます。